相続法改正・特別寄与料で注意すべき点
相続人以外の者の貢献を考慮するための方策として、相続法改正により、特別寄与料の制度が導入されました。7月から導入されていることはすでにお伝えしました。
今回は特に注意すべき点について、解説いたします。
1 請求権者は親族となります
まず、請求権者ですが、「被相続人の親族」が請求権者となります。
親族とは、六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族で、この中から法定相続人を除いた者になります。
請求する相手方、すなわち特別寄与料を負担する者は、相続人となります。
2 寄与の態様が微妙に寄与分と異なります
特別寄与料の寄与の態様は、労務の提供に限定されています。寄与分では労務の提供のみならず財産上の給付が含まれていることと異なるので注意が必要です。
したがって、嫁が介護の費用を代わりに出していた、といったような場合には、特別寄与料の請求はできません。
不当利得などで解決することになるのでしょうが、それも大変なので、できる限り事前に契約法上の対応をしておくのが良いでしょう。
3 「特別の」寄与のハードルが高いです
「特別の」という文言は,寄与分の制度と比較して、さらに貢献の程度を要するものと解されています。寄与分自体、なかなか認められることがありません。
したがって、特別の寄与が認められることは容易ではないでしょう。
また、寄与分と同様に、相続財産の維持増加との因果関係や無償性の要件も必要になります。
4 時効が極めて短いです
遺産分割は時効がないので、長く放置されることも多いのですが、特別寄与料の請求は時効が短いので注意が必要です。
特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6か月(時効期間),又は相続開始の時から1年(除斥期間)となります。
相続があったけど、知らなかったとか、請求できるか検討しているうちに時効になってしまうなどの事態は避けなければなりません。