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川崎相続遺言法律事務所ブログ

2019年8月7日(水)

家族信託における受益者代理人とは

 

 

 

 

1 受益者代理人とは

 

家族信託では、受益者の代理人となる者を定めることができます。これを受益者代理人といいます。

 

受益者代理人は、受益者のために信託法上の一切の行為を代理する権限を持っています。

 

信託監督人は、受託者を監督するための権利を行使する者ですが、受益者代理人はそれにとどまらず、信託法上の一切の権利を代理人として行使することができます。

 

 

2 受益者代理人が必要になる場合

 

受益者代理人は、受益者自身が権利行使できないとき、すなわち、受益権に関する意思決定ができない場合や、受託者への監督などが困難な場合に、必要になります。

 

例えば、受益者が認知症に罹患し、意思表示ができなくなったときなどに備えて、受益者代理人が選任されるように定めておくことができます。

 

信託契約を設定するときに、受益者代理人となるべき者を定めます。

 

3 受益者の権利制限

 

受益者代理人が選任されると、受益者本人は、信託法92条各号に定める行為以外の権利を行使することができなくなります。

 

4 受益者代理人の義務・報酬

受益者代理人は、善管注意義務及び誠実・公平義務を負います。

 

受益者代理人は、信託行為に定めることなどて、受託者に報酬を請求することができます。

 

5 受益者保護の必要性

高齢者等が受益者である信託において、これを護る受益者代理人の選任は不可欠とされています(「家族信託契約」32p 遠藤英嗣 日本加除出版)。

 

家族信託においては、受益者の権利を保護することは大事なことです。受託者の監督ができなくなってしまわないか、受益者の権利がきちんと保護されるかなど、いろいろな場面を想定して、対処する必要があります。

以上

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