2017年6月27日(火)
胎児は相続人になる?
今回は胎児が相続人になるかについて説明していきたいと思います。
まず、相続人が誰かを考えるにあたって、被相続人と相続人の同時存在の原則というものが存在します。これは、相続人は、被相続人死亡時に生存していることを要する、という原則のことです。
そして、民法3条1項では、「私権の享有は、出生に始める。」と定められています。この規定を逆に読めば、出生前の胎児は、権利主体とはならないといえます。
そうすると、胎児は相続することはできないように思われますが、胎児にとって不利益・不都合が生じることがあります。例えば、先程の原則を維持すると、父親が死亡する1日前に生まれていれば相続人となり、1日後に生まれれば相続人にならないことになります。しかし、胎児とはいえ、既に一つの生命として誕生している以上、このような偶然の事情で、扱いを異にするのは妥当ではないでしょう。
そのため、民法886条1項では、「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。」と定め、胎児の相続権を保障しました。つまり、胎児は、相続をすることができるということです。
もっとも、胎児の時点で相続できるわけではありません。あくまでも、生きて出生したときに初めて、相続開始時から相続人であったものとして、相続することができるということになります。
なお、死産となってしまった場合には、相続することはできません。民法886条2項も、「前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。」と定めています。
(勝本)