2017年6月2日(金)
遺産の管理費用~葬儀費用は?
相続が開始しても,遺産分割協議がまとまるまではかなりの時間を要するのが通常です。
そうすると遺産分割がまとまるまでの間,遺産を管理する必要が生じますが,その管理費用はどうしたらいいのでしょうか?
この点,民法885条1項によると,「相続財産に関する費用は,その財産から支弁する。」とあります。
したがって,「相続財産に関する費用」に当たれば,相続財産(遺産)から支出することができます。
「相続財産に関する費用」に当たるものとしては,固定資産税,家賃,火災保険料,水道光熱費,建物の修繕費などがあり,これら費用は相続財産(遺産)から支出できます。
しかし,相続税は,相続人個人に課されるものであることから,「相続財産に関する費用」には当たらないと考えられています。
では,葬儀費用はどうでしょうか?
葬儀費用については,「相続財産に関する費用」に当たるとする裁判例と当たらないとする裁判例の両者があり,裁判所の見解は一致していません。
葬儀費用というと当たり前のように相続財産(遺産)から支出するものと世間一般的には考えがちかもしれませんが,上記のように裁判例も見解が割れており,現状は,相続財産(遺産)から当然に支出できるということにはなっていませんので,注意してくださいね。
(小林)