2017年2月14日(火)
ビットコインの相続問題
1 ビットコインの法的性質
ビットコインとは,紙幣や貨幣を使わずに,インターネットを通じて電子データのみで決済を実現する仮想通貨(暗号通貨)です。
昨年,国が資金決済法等の改正により通貨と認め,仮想通貨交換業者の法規制に入ったことから,最近さらに注目を集めています。
仮想通貨は,今後ますます利用が広まっていくものと思われます。
詳しく説明すると長くなるので,ビットコインそのものについては,ここでは説明を省略します。
なお,ビットコインは,電子データで,パスワードを用いて使用することができ,所有権の対象となる物理的な「もの」がありません。
また,誰かに対して何かを求めることができる「債権」でもなく,パスワードを事実上支配するという関係で所有します。
ビットコイン,あるいは同じような特徴をもつ仮想通貨が流通してくると,これは財産的価値を持つものなので,相続が発生した場合,様々な問題が生ずると思われます。
ビットコイン自体については,現金と同様に,相続の対象となることについては問題ないでしょう。
現金と同じと考えると,相続人が複数いる場合には,当然分割にならず,共有となり,遺産分割の対象となると思われます。
2 ビットコインの相続問題
現実的な問題として,ビットコインの残高を確定し,取引可能にするためには,ビットコインがどこにあるか,また,被相続人のパスワードがどこにあるかを知る必要があります。
現在ビットコインは,スマホのアプリや,パソコンにあったり,取引所にあったり,いろいろなところに置くことができます。
したがって,ビットコインの保管場所やパスワードがわからなくなると,ビットコインが使えなくなります。
亡くなったときに,相続人にこれらがうまく伝わるような仕組みが必要でしょう。
また,現状ビットコインの取引相場はたいへん激しい値動きがあります。
リスク資産なので,遺産分割のときに,思った通りの価値ではなかった,ということがあり得ます。
結果的に不満が残らないように,遺産分割の時期や,円に換えるときの相場などに注意する必要があります。
相続税を課すときに,財産評価をどうするかという点も注目されます。
なおデジタル遺産の相続問題については,ここを参照ください。
(関口)