2016年10月9日(日)
言葉の使い分けの難しさ
今回は言葉の使い分けの難しさをテーマに記事を書きたいと思います。
例えば、「直ちに」「遅滞なく」「速やかに」という言葉。
いずれも何かを早くやって欲しいときに使う言葉ですよね。
もっとも、この3つの言葉はそれぞれ若干ニュアンスが異なります。
例えば、「直ちに」は最も即時性が強く一切の遅れを許さない場合に使われます。
次に、「遅滞なく」は正当又は合理的理由があれば遅れが許される場合に使われます。
最後に、「速やかに」は「直ちに」に次ぐ即時性ですが訓示的な意味であることが多いといわれます。
一見して同じ意味に思える言葉ですが、このようにニュアンスが異なるわけです。
また、「○○その他××」と「○○その他の××」という言葉。
「の」が入るかどうかという細かな違いですが、それだけで意味合いが異なることになります。
「その他」では「××」は「○○」以外を補足的に指すことになる一方、「その他の」では「××」は包括的で「○○」を含み、「○○」はあくまでも例示にとどまることになります。
具体例でわかりやすく説明すると、次のとおりになります。
例えば、「賃金、給料その他これに準ずる収入」と書かれていた場合、「賃金」と「給料」と「これに準ずる収入」は並列的な関係に立つことになります。「これに準ずる収入」の中に「賃金」や「給料」は含まれないわけですね。
次に、「りんご、みかんその他のフルーツ」と書かれていた場合、「フルーツ」の中に「りんご」や「みかん」が含まれるので、「りんご」や「みかん」はあくまでも「フルーツ」の例示ということになります。
このように「その他」と「その他の」では大きく意味が異なりますから、厳密に使い分けられています。
日本語というのは難しいですね。
(勝本)