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川崎相続遺言法律事務所ブログ

2016年8月5日(金)

相続人に行方不明者がいたら・・・

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1.相談例

 

先日、母が亡くなりました。相続人は、私と姉と弟の3人です。遺産分割協議をしたいのですが、弟とは何十年も連絡を取っておらず、弟がどこで何をしているか全くわかりません。母の遺産は、生前母の世話をしていた私が相続するということで、姉とは話がまとまっているのですが、弟を除いて2人で遺産分割協議をしてもいいのでしょうか。

 

2.解説

 

回答としては、弟さんを除いて2人で遺産分割協議をしても効力がない、ということになります。なぜなら、遺産分割協議は、相続人全員でしなければならないからです。

 

どうしても弟さんに連絡が付かない場合、不在者財産管理人あるいは失踪宣告の手続きが利用されます。

 

(1)不在者財産管理人

 

「従来の住所又は居所を去った者」で容易に戻る見込みのない者であり、その者が管理人を置かなかったときは、申立てをして不在者財産管理人を選任してもらうことができます。この場合、この不在者財産管理人が不在者に代わって遺産分割に関与することになります。

 

したがって、本件でも、不在者財産管理人選任の条件を満たしていれば、不在者である弟さんに代わって不在者財産管理人を加えて、遺産分割協議をすることができます。

 

(2)失踪宣告

 

また、不在者の生死が7年以上明らかでないときは、申立てをして失踪宣告をしてもらうことができます。この場合は、失踪者を除外して、遺産分割等の手続きを進めればよいことになります。ただし、失踪宣告は、3か月以上の公示催告期間を経る必要があるなど、時間がかかってしまいます。

 

したがって、本件でも、失踪宣告の条件を満たしていれば、その手続きをとることで、弟さんを除外して、遺産分割をすることができます。

 

3.まとめ

 

冒頭の相談例のように、音信不通の相続人がいるケースは少なくありません。しかし、音信不通だからといって、その人を除外して遺産分割協議をしても無効になってしまいます。音信不通の相続人がいる場合、上記のように不在者財産管理人や失踪宣告の制度が存在しますが、まずは、戸籍の附票を取り寄せるなどして、そこに記載されている所在地に連絡をとることになります。音信不通の相続人がいてお困りのときはぜひ一度弁護士に相談してみてください。

 

(勝本)

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