2015年11月19日(木)
遺言による寄付について
遺言による寄付の増加
近年未婚率が上昇し,相続人がいない人が増えていることがあり,公益的な団体に対して,遺言によって財産を寄付する方が増えています。
相続人がいない場合,相続財産管理人がつき,債権者等への債務の支払い・精算や特別縁故者への分与などを検討することになります。
そして,財産が残った場合には,最終的には国庫に帰属することになります。
それならば,恵まれない子どもたちのために使ってほしい,あるいは,平和のために使って欲しいなどと考え,公益的な団体に寄付したいとお考えになる方が増えると言われています。
寄付をする団体
公益的な団体には,学校など教育機関や,子どもや子育てを支援する団体,平和活動や人道支援などをする団体,環境保護をする団体など様々なものがあります。
地域のNPOなど,財源確保に苦しんでいる団体も多いと思われますので,遺言による寄付が活性化することが望まれます。
この団体に寄付したい,と決まっている方は良いですが,決まっていない方は公益事業を行っている団体で,寄付を受け付けているところを探すことから始めなければなりません。
なお,一定の公益的な団体に対する寄付については,要件を満たすと相続税が課されない特例がありますので,これが適用される団体かどうかも考慮します。
遺言による寄付の方法
遺言による寄付をするには,通常は,確実性を期するため,公正証書で遺言をつくることになります。
寄付する財産に不動産が含まれている場合や負担付きの財産の場合など,確実に執行することができるか,団体に寄付を受け入れてもらえるかという問題もありますので,財産内容に応じた対策が必要になります。
遺言による寄付の手続を確実に執行できるようにするためには,適切な遺言執行者をつけると良いでしょう。
もちろん,相続人がいる方でも遺言による寄付をすることは可能ですし,財産の一部だけ寄付するということも可能です。
(関口)