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川崎相続遺言法律事務所ブログ

2015年10月2日(金)

共同相続登記は何のために

複数の相続人がいる場合に,法定相続分どおりの割合で不動産の登記をすることを「共同相続登記」といい,これは相続人がそれぞれ単独ですることができます。

 

例えば,父親が亡くなり,母親と子どもが相続人となった場合,法定相続分どおり(母親2分の1,子ども2分の1)であれば,母親も子どもも相手の同意など得なくても,単独で登記をすることができるのです。

 

もちろん,その後遺産分割協議をして,法定相続分とは異なる分け方をすることはできます。その場合は,遺産分割協議で決めた内容にしたがって,改めて登記をすることになります。

 

そうすると,法定相続分通りに遺産を分けるならともかく,そうでない場合はこのような登記をしておく意味はないのではないか,という疑問が生じます。

 

共同相続登記をする目的は何なのでしょう?

 

まず,遺産分割協議は長引きそうだが,遺産である不動産を売却することに争いがない場合が挙げられます。被相続人の名義のままでは,相続人が不動産を売却することはできませんから,相続人名義にするために共同相続登記をする必要があるのです。

 

次に,登記をせずそのまま長期間放置している間に,新たな相続が発生し,その結果相続人が増えることがあります。この場合,関係者が増えるわけですから,名義変更をすることが困難となりかねません。そこで,共同相続登記をしておくことで,名義変更が困難となることを回避するのです。

 

また,悪意を持った第三者や相続人の一人が勝手に名義を変更して,不動産を売却してしまうのを防止するということも,共同相続登記をする目的として挙げられます。

 

確かに,自己の法定相続分に当たる持分まで勝手に売られてしまってはたまりません。しかし,最高裁の判例によれば,相続人の一人から遺産である不動産を買い受け登記まで備えた第三者に対しても,相続人は自己の持分について登記なくして対抗できるとされていますので,少なくとも自己の法定相続分について取り戻すことは可能です。

 

とはいえ,一度は第三者の手に渡ってしまったものを取り返すのには,時間も手間もお金もかかります。したがって,それを防ぐために,共同相続登記をしておくことは有用なのでしょうね。

 

(小林)

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