2015年6月2日(火)
預金の使い込みに対して、どうすべきか
遺産分割をしようと思って,預金口座を調べてみたら,思ったよりお金が残っていなかった,ということがよくあります。
調べてみると,相続開始の前後に,預金を実際に管理していた相続人の一人が,口座から預金を引き出してしまっていることがわかりました。
これに対して,他の相続人は,どうしたら良いのでしょうか。
勝手に引き出したということであれば,引き出した者に対して,その金額を被相続人の財産(遺産)に戻せ,という請求をすることができ,これを不当利得返還請求(ふとうりとくへんかんせいきゅう)といいます。
なお,この不当利得返還請求という権利は,不当利得の日から10年の時効があります。あまりにも昔の場合には行使することができなくなるので,注意が必要です。
相続人は,引き出した者に対して,まずは,引き出した理由を聞きます。
私用で使い込んでしまっていることを認めることもあります。
しかし,「被相続人の指示であった」「被相続人の経費として使った」,あるいは「被相続人からもらった」,という回答があることもあります。
被相続人のために使ったというのであれば,領収証等の証拠を出してもらうように請求します。
引き出した金額を戻すことについて,合意が得られれば良いのですが,なかなか話し合いができないことも多いです。
その場合は,地方裁判所に対して,不当利得返還請求訴訟という民事訴訟を提起しなければなりません。
これは,裁判ですので,証拠収集,主張・立証などが簡単にはできません。通常は弁護士に依頼した方が良いでしょう。
(関口)