2016年4月22日(金)
司法修習って?
前回の記事に引き続き、司法修習についてご紹介させていただこうと思います。
前回の記事(2016年4月4日「司法試験って?」という記事。)でご説明したように、法曹(裁判官、検察官、弁護士)になるためには、司法試験に合格した後に、司法修習という研修を受けなければなりません。
「司法修習」という言葉は、司法修習生の給費制廃止違憲訴訟で話題になったので、ニュースなどでご覧になったことがある方もいらっしゃるかと思います。ですが、具体的にどういうことをしているのかご存じの方は少ないと思いますので、ご紹介します。
司法修習とは何かというと、簡単にいえば、裁判官、検察官、弁護士の下での研修です。約1年間かけて、司法研修所、裁判所、検察庁、法律事務所を回って、研修を積みます。ちなみに司法研修所とは、埼玉県和光市にあるのですが、司法修習生が座学を受ける施設です。
司法修習生は毎年全国各地に配属されますから、今の時期も、横浜地方裁判所や横浜地方検察庁、各法律事務所において、日々、司法修習生が研修に励んでいます。私もお世話になりました。
全国各地によって内容は若干異なると思いますが、私の経験に基づいて修習の内容をご説明します。
まず、裁判修習では、裁判所の裁判官室内で修習を受けます。裁判記録を読み、裁判官から課題を与えられて書面を作成し、裁判傍聴をするなどします。書面作成や傍聴後に裁判官と議論をすることで、裁判官の思考や感覚を学ぶことができます。
次に、検察修習では、事件の捜査や起訴の判断などを行います。司法修習生が直接被疑者の取調べを行い、起訴あるいは不起訴の判断をします。事件発生から起訴または不起訴に至るまでの流れなどを学ぶことができます。
弁護修習は、法律事務所に配属され、一人の指導担当弁護士に付き添って修習をします。弁護士は日々のスケジュールが様々ですからどの弁護士が指導担当となるかによって内容が異なります。一般的には、法律相談や接見への立ち合い、裁判の傍聴、書面作成などです。
こうして各修習を終えてようやく法曹に・・・というわけにはまだいきません。
最後に「司法修習生考試」という試験を受けなければなりません。通称「二回試験」と呼ばれる試験で、司法修習の卒業試験のようなものです。司法試験に続く二回目の試験ということで「二回試験」と呼ばれています。
二回も試験に受からなければならないなんて大変と思われるかもしれませんが、司法試験と異なって二回試験は合格率が高いです。ただ、一定数の人数は不合格となっていますし、不合格となった場合、また1年後の二回試験まで待たなければなりません。これらを考えるとやはりプレッシャーは大きいものです。
そして、この二回試験に合格すると晴れて法曹になることができます。二回試験は11月に試験があり、合格発表は12月ですから、12月や1月から仕事が始まる方が多いです。
前回に引き続き、法曹になるためのルートについてご説明してきましたが、いかがだったでしょうか。これらの記事をご覧になり、弁護士のことを知ってもらい、少しでも身近に感じていただけたならば幸いです。
(勝本)