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川崎相続遺言法律事務所ブログ

2015年11月13日(金)

仲良しも遺言だけは別々に

日曜日,11月15日は「いい遺言の日」の日です。この日にちなんで色々なイベントがあるようです。当事務所も「遺言書の作成・個別相談会」を開催の予定です。

 

さて,この11月15日(いい遺言の日)から11月22日(いい夫婦の日)までは「夫婦の遺言週間」だそうです。家族や親せきが顔を会わせる機会の多い年末年始を前に,夫婦で相続や遺言について考えてもらおうと,りそな銀行が平成18年11月に制定したそうです。

 

夫婦で話題にのぼることはあまりないテーマかもしれません。しかし,例えば子どものいない夫婦の場合,どちらかが亡くなっても兄弟姉妹が健在で,彼らが相続人となり,相続権を主張するというのはよくあるケースです。

 

それでも構わないというならともかく,疎遠となった兄弟姉妹よりも,長年連れ添ったパートナーに遺産をすべて取得させたいと思う方は多いはずです。

 

このような場合,兄弟姉妹には遺留分はありませんから,妻(夫)がすべての財産を相続するという内容の遺言を残しておけば,兄弟姉妹に遺産がいくことはありませんので,遺産をすべて妻(夫)に取得させることができます。

 

そこで,仲良し夫婦が,遺産をすべて妻(夫)に取得させるために,「夫が先に亡くなった場合,妻が夫の全財産を取得し,妻が先に亡くなった場合,夫が妻の全財産を取得する。」という内容の遺言書を夫婦連名で作成しました。何か問題があるでしょうか?

 

この点,民法975条は「遺言は,二人以上の者が同一の証書ですることができない。」と規定しており,上記のような遺言を禁止しています。これを「共同遺言の禁止」と言います。

 

なぜ,共同遺言はダメなのでしょうか?そもそも遺言は,遺言者の自由な意思でなされなければなりません。夫婦とはいえ自分以外の人の意思に左右されてはならないのです。また,遺言の撤回や訂正も自由にできなければなりません。

 

ところが共同遺言を認めると,夫婦のどちらかの一方的な意思で作成される恐れもあるし,そこまでいかなくても妻(夫)が夫(妻)に遠慮し,どちらかの自由な意思に基づかない遺言となる恐れもあります。また,作成した時は,自由な意思で作成したとしても,その後どちらかの気が変わった場合,自分の意思だけで自由に撤回したり訂正することもできなくなります。

 

以上の理由から,共同遺言は禁止されているのです。

 

妻(夫)に自分のすべての財産を取得させたいのであれば,それぞれ単独で遺言書を作成すればいいのですから,いくら仲良しとはいえ,遺言まで同一の証書で連名でする必要はない,ということですね。

 

(小林)

 

 

 

 

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