2015年8月28日(金)
不動産相続の落とし穴
FPの勉強会で標記の講義を受講してきました。講師は,一般社団法人日本シルバーサポート協会の藤井智英さんです。
不動産の相続がある場合に注意すべき点がいくつかありますが,最も大事なのは,しっかりと不動産の価値を把握することだと思います。
まず,不動産の現在価値を調べるときに,不動産業者の簡易査定を取ることがよくあります。これは,簡単に取得できるという点でありがたいのですが,実際に売れる価格とは異なる場合があるので注意しなければなりません。
固定資産税評価額,路線価についても調べ,それぞれの意味などひととおりの知識を持って,できるだけ客観的に把握する必要があります。
次に,不動産をこれからどう利用するか(どうやって遺産分割するか)を考え,それぞれの場合分けと将来の経済的な価値を考えます。
誰がどのように使っているのかという現状と,これから誰がどのように使うのか,使いたいのか,というニーズを調べます。
そして,住むのか売るのか,売るとしていつ売るのか,を良く考えなければいけません。その際は,税金がいくらくらいになるかも調べないと,意外と税金がかかり損する場合もあります。
税金というのは,相続税申告の際の小規模宅地等の特例等に限りません。遺産分割後に売却するというのであれば譲渡所得税がかかり,ずっと持っているというのであれば固定資産税がかかります。いろいろな状況を想定して,慎重に検討する必要があります。
譲渡所得税とは,土地・建物等を売ったときにかかる税金です。この譲渡所得の計算は,
収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額=課税譲渡所得金額
となり,実際にいくらの税金を払うかは,取得費や譲渡費用がどのくらいなるか,また居住用不動産の特例が使えるか,長期譲渡か短期譲渡か,などで大きく異なってきます。
したがって,相続によって取得した不動産を売却することまで予定しているのであれば,そこまで計算しておかないと,税金の額まで含めた厳密な経済的価値がわからないことになります。
(関口)