2015年8月13日(木)
遺留分の放棄をしてもらうことは可能
相続開始前に、相続放棄をすることはできません。
しかし遺留分は、相続開始前に、放棄することができます。
遺留分とは,一定の相続人のために,相続に際して法律上取得することが保障されている遺産の一定の割合のことをいいます。
親一人,子どもたち数人の家族で,親が全財産を一人の子供に取得させたい場合どうしたら良いでしょうか。
通常なら,相続人には遺留分があることから,例えば被相続人が子どもたちのうち一人だけに全ての財産を取得させる,という遺言を書いたとしても,遺留分減殺請求を行われてしまう可能性は残ります。
そこで,確実にその一人だけに財産を取得させ,他の子どもたちに遺留分減殺請求をさせないために,他の子どもたちの了承を得て,遺留分を放棄してもらうのです。
遺留分放棄をしてもらうことにより,相続時に,被相続人である親の自由に処分できる財産が全ての財産となるので,遺言をしっかりつくっておけば,全ての財産を一人の子供に取得させることができるのです。
反対に,遺言をつくっておかなければ,遺留分放棄をした相続人は相続人であることには変わりがないので,通常通り遺産分割協議が行われ,法定相続分通りの取得となります。
遺留分の放棄には家庭裁判所の許可が必要です。
被相続人の生存中に,遺留分を有する相続人が,家庭裁判所に申立を行います。
通常は,生前に財産をもらっているから,とか,生活は安定しているからなどと言った申立の理由を書き,裁判所が遺留分放棄の意思が真意であると判断すれば,許可が得られます。
(関口)