2019年9月11日(水)
家族信託のハードルは登録免許税
1 家族信託のハードルのひとつ
家族信託の高いハードルとなるのが登録免許税です。
家族信託を設定する際、不動産があることが多いです。また、高額な不動産となる場合もあります。
不動産を信託する場合には、委託者から受託者への信託による所有権移転について、不動産登記が必要になります。
登記をするときは、司法書士を頼んだ場合の報酬のほかに、登録免許税が必要になります。
これが、相当な金額となることから、家族信託を断念する方もいらっしゃいます。
2 登録免許税の金額
登録免許税の金額は、現在のところ、固定資産税評価額を基準に、以下のとおりになります。
土地の場合 固定資産税評価額の0.3%(3/1000)
建物の場合 固定資産税評価額の0.4%(4/1000)
したがって、たとえば、固定資産税評価額5000万円の土地を信託する場合には、15万円の登録免許税がかかります。
信託の場合、信託をすることによって経済的利益が得られるわけではないので、これは高すぎる気がします。
実際に、登録免許税が高いという理由で、家族信託を断念する人がいらっしゃるので、制度改正して、減額するなどすれば、もっと信託利用者は増えると考えられます。
3 相続対策は十分な検討が必要
登録免許税は、必ず納めなければならないものなので、これを上回る信託のメリットがあるか、よく検討する必要があります。
法定後見のデメリットや遺言の不十分なところもありますが、全ての人に必ず家族信託が適切というわけでもありません。
高齢者の財産を管理・承継し、安心安全な相続のために、考えられることはいろいろとあります。
ご家族のニーズはそれぞれですので、その人に見合った、コストを意識した対策を考えることが大事です。これは、法律と税金両方の観点が必要です。
当事務所では、個別の事情に応じて、広く相続対策・生前対策を考えることができますので、お気軽にお問い合わせください。