相続人以外の親族による特別寄与料等の請求権の創設
1 特別寄与料の創設
相続人以外の被相続人の親族が,無償で被相続人の療養看護や介護などを行った場合には,一定の要件の下で,相続人に対して金銭請求をすることができるようになります。
長男の嫁が介護をした場合を想定するとわかりやすいでしょう。
現在,相続人以外の者は,被相続人の介護に尽くしても,相続財産を取得することはできません。
例えば,長男の嫁が,被相続人の介護を続けていても,遺産分割のときは,相続人ではないので,寄与分を請求することができません。
逆に,相続人である長女や次男は,被相続人の介護を全く行っていなかったとしても,相続財産を取得することができます。
これでは不公平なので,相続開始後,介護に尽くした嫁は,相続人に対して,金銭の請求をすることができることになりました。これで,介護等の貢献に報いることができ,実質的公平が図られます。
遺産分割の手続が過度に複雑にならないように,遺産分割は,現行法と同様,相続人だけで行うことにしました。
そして,これと別に,相続人に対する金銭請求を認めることにしたのです。
長男の嫁が献身的な介護をしていた場合等,その貢献が報われることになったのは良いことです。しかし,これを機会に遺産相続の争いが起こる可能性はあります。
2 手続など
特別寄与料の支払いについて当事者間で協議が調わないとき,特別寄与者は家庭裁判所に対して特別寄与料を定めることを求めることができます。
ただし,その期間は,特別寄与者が相続の開始及び相続人を知ったときから6ヶ月を経過したとき,又は相続開始の時から1年以内となります。
家庭裁判所は,寄与の時期,方法及び程度,相続財産の額その他一切の事情を考慮して,特別寄与料の額を定めます。
特別寄与料が認められるためには,寄与分と同様に,相続財産の増加・維持にどれだけ貢献したかを示す必要があります。
そこで,例えば介護であれば,どのような介護をしたのか,業者との連絡や交通費・その他の経費の支払などの証拠を残しておくことも重要です。
施行日は,2019年7月1日になります。