2017年10月12日(木)
寄与分について③
これまで、寄与分が問題となる類型のうち、前々回は療養看護型、前回は家事従事型についてご説明しました。今回は金銭等出資型についてご説明します。
金銭等出資型とは、被相続人の事業に関して財産上の給付をする場合又は被相続人に対し、財産上の利益を給付する場合です。例えば、相続人が、被相続人に対し、被相続人の新規事業の開始や借金返済などのために金銭を贈与する場合などです。
よく問題になるのが、相続人が被相続人経営の会社に出資した場合です。これは、被相続人とは別人格である法人に対する財産上の給付ですので、寄与分が認められないのが原則です。
もっとも、当該会社の実体が被相続人の個人企業に近く、会社と被相続人が経済的に密着した関係にあり、会社への援助と被相続人の資産の確保との間に明確な関連性がある場合には、被相続人の経営する会社に対する出資が被相続人に対する寄与行為と認められる余地があります。
そして、前々回・前回もご説明したとおり、法律上の寄与分として認められるためには、その金銭等の出資が「特別の寄与」すなわち被相続人との身分関係から通常期待される程度を超えるものであることが必要です。
このような観点からすると、お小遣い程度の金銭の交付や短期間の不動産使用許諾等は「特別の寄与」には当たらないでしょう。逆に、多額の金銭の交付や不動産の贈与あるいは購入資金の援助をした場合などは、「特別の寄与」に該当する可能性があるでしょう。
(勝本)