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川崎相続遺言法律事務所ブログ

2017年8月10日(木)

遺産は不動産しかありません

父親が亡くなり,相続が開始しました。ところが,預貯金などはほとんどなく,遺産は複数の土地・建物(不動産)しかありません。

 

これ,どうやって分けましょうか?

 

もちろん,相続人間の協議によって合意できれば,どのように分けても構いませんが,分割方法としては,以下の3つの方法があります。

 

まず,1つ目は「現物分割」です。

 

文字通り,土地や建物を「現物」で分割する方法で,実はこれが原則となります。

 

しかし,不動産の場合,法定相続分どおりきれいに分割できないことも多く,相続人間で不公平になることも多々あることから,真に相続人間の合意がないと,実際は困難な分割方法といえます。

 

次に,2つ目は「代償分割」です。

 

これは,一部の相続人に遺産である不動産をすべて取得させたうえで,他の相続人には代償金を支払うという方法です。

 

これは,遺産である不動産に相続人の誰かが住んでいて,将来も住む必要があるような場合には,有用な方法です。

 

しかし,代償分割をする前提として,不動産の評価をする必要があります。そうしないと取得した不動産がいくらの価値があって,これに対して代償金をいくら支払うべきかが分かりませんからね。

 

ところが,不動産の評価方法は,「公示価格」「固定資産税評価額」「路線価(相続税評価額)」など様々あり,この評価方法でもめることが多々あります。

 

また,評価方法で合意できても,遺産を取得する相続人に代償金を支払う財力がなければ,「代償分割」はできません。

 

以上のようなデメリットはあるものの,それらをクリアできるのであれば,相続人全員が満足できる公平な分割方法といえます。

 

さらに,3つ目は「換価分割」です。

 

これは遺産である不動産を換価(売却等)したうえで,その売却代金等を分割する不法です。

 

遺産である不動産を,誰も使用していない,または,使用する必要がない場合には,有用な方法となります。

 

ただ,どのように売却するか(業者の選定),いくらで売却するかなどでもめることもあります。

 

最後にもう一つ,上記3つの分割方法をいずれもとれなかった場合に「共有分割」という方法をとることがあります。

 

これは,遺産の一部または全部を複数の相続人で共有するという分割方法で,不動産の場合,法定相続分に応じた登記をすることがほとんどでしょう。

 

しかし,分割といっても相続人間の共有状態が解消されるわけではありません。共有状態を解消するためには別途「共有物分割訴訟」などを提起する必要があります。

 

このように,不動産の「共有分割」では根本的な解決にはなりませんので,ご注意を。

 

(小林)

 

 

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