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川崎相続遺言法律事務所ブログ

2017年7月27日(木)

寄与分について①

 

共同相続人中に、被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与(=通常期待される限度を超える貢献)をした者があるときに、その貢献分が相続分に上乗せしてもらえる場合があります。この上乗せされた貢献分のことを法律上寄与分といいます。

 

そして、寄与分が問題となる類型は、その貢献の方法によって、療養看護型、家事従事型(被相続人の事業に関する労務の提供)、金銭等出資型、扶養型等に分けられます。今回は療養看護型について、ご説明します。

 

療養看護とは、病気になった、あるいは高齢等のため介護を要する状態となった被相続人を介護したり、身の回りの世話をすることをいいます。例えば、被相続人である甲が亡くなるまで1年間病院に入院していたところ、その子である乙が月1回程度、身の回り品を購入してお見舞いに通って甲を支援していた場合などがこれに当たります。

 

もっとも、法律上の寄与分として認められるためには、その療養看護が「特別の寄与」と評価されなければなりません。

 

元々、夫婦間には民法752条に基づく協力扶助の義務が、親子間には民法730条に基づく互助義務があります。そこで、寄与分が認められるためには、被相続人の病状等に基づく療養看護の必要性の有無や内容、療養看護を要した期間、看護・介護に当たった相続人の年齢、対価支払の有無や内容等を考慮して、社会通念に照らし、当該療養看護が被相続人との身分関係(夫婦・親子等)から通常期待される限度を超えるものである必要があります。

 

そうすると、上記の具体例では、親子の身分関係から通常期待される程度を超える療養看護と評価することは難しいと考えられます。あくまでも、子が親に対して負う上記互助義務(民法730条)の範囲内と評価される可能性が高いということです。

 

療養看護型に関するご相談は比較的多いのですが、いわゆる寄与分として認められるためのハードルは高く、裁判所で認めてもらうのは厳しいことが多いのが実情です。もっとも、一般的に厳しいとはいえ、認められるケースもありますから、一度弁護士にご相談されることをおすすめします。

 

次回は、家事従事型についてご説明します。

 

(勝本)

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