2017年2月13日(月)
死亡保険金と相続
1.受取人が特定の者に指定されている場合
被相続人(亡くなった方)が生命保険に加入しており、配偶者を受取人にしている場合、死亡保険金は相続財産に含まれるのでしょうか。
回答としては、死亡保険金の受取人が被相続人以外の特定の者に指定されている場合、死亡保険金は相続財産になりません。
例えば、上記のように受取人が配偶者に指定されている場合、配偶者が固有の権利として生命保険金を受け取ることになります。
したがいまして、上記の場合、被相続人に、配偶者以外に子などの法定相続人がいたとしても、子が死亡保険金を相続することはありません。
2.受取人が「相続人」と指定されている場合
また、受取人が配偶者や子という特定の者ではなく「相続人」と指定されている場合も、保険金は、発生と同時に相続人の固有財産となり、相続財産にはなりません。
その場合は、特段の事情がない限りは、法定相続分の割合で法定相続人が固有の財産として保険金を取得することになります。
3.受取人が指定されていない場合
そして、受取人が指定されていなかった場合は、多くの場合、保険約款に被保険者の相続人に支払う旨の条項がありますから、「相続人」と指定した場合と同様の扱いになります。すなわち、特段の事情がない限り、法定相続分の割合で法定相続人が固有の財産として保険金を取得することになります。
4.受取人が被相続人自身とされている場合
最後に、受取人を被相続人自身とした場合ですが、これは考え方が分かれています。一つは受取人を指定しなかった場合と同様、単に「相続人」と指定した場合と同様に扱うという考え方、もう一つは保険金請求権は遺産となるという考え方です。
ただ、実務的には、前者の考え方、すなわち単に「相続人」と指定した場合と同様に扱うという考え方が強いようですから、その考え方に従えば、法定相続分の割合で法定相続人が保険金を取得するということになります。
5.最後に
被相続人が生命保険に加入していた場合、上記のような扱いになりますので、遺産分割等の話し合いをされる際にはご注意ください。
なお、生命保険金が相続財産に含まれるかという話とは別に、生命保険金が特別受益にあたるかという話もあります。このことに関しましては、以前のブログ(「特別受益と死亡保険金」)で説明しておりますので、興味がある方は御覧いただければと思います。
(勝本)